ジオコーディングを無料で使う方法 — 無料のサービスの違いと、位置精度「番地」「町丁目」の読み方
住所を緯度経度に変えることを、ジオコーディングと呼びます。地図にピンを立てる、距離を測る、商圏の人口を出す、といった作業の前に必要になる工程です。ジオコーディングは無料でもできますが、方法によって手間と、出てくる位置の確かさが違います。
この記事では、まず無料で使える方法を並べ、そのあと結果に付いてくる「番地」「町丁目」「市区町村」という位置精度の読み方を整理します。
無料でジオコーディングする方法
| 方法 | 向いている件数 | 位置精度の表示 |
|---|---|---|
| Googleマップで住所を検索し、地図を右クリックして緯度経度をコピーする | 数件〜数十件 | なし(1件ずつ目で確かめる) |
| 東京大学空間情報科学研究センター(CSIS)のCSVアドレスマッチングサービス | まとまった件数のCSV | あり(信頼度と精度レベルの2つの数値) |
| 国土交通省の位置参照情報をダウンロードして、自分で住所と突き合わせる | 件数の制限なし | 自分で決める |
Googleマップの方法は、公式ヘルプにある手順です。地図で目的の場所を右クリックすると、上に緯度と経度が出て、クリックするとコピーできます。1件ずつ地図で場所を確かめられるので、位置は確かですが、件数が増えると時間がかかります。
CSISのCSVアドレスマッチングサービスは、住所の入ったCSVをアップロードすると、緯度・経度の列を足したCSVを返すウェブのサービスです。公式ページによると、変換の確かさを示す列として信頼度(iConf)と精度レベル(iLvl)が付き、商用の利用もFAQで可とされています。変換の誤りなどによる損害の責任は負わない、利用者の責任で使う、という条件が付きます。
位置参照情報は、住所と座標の対応表そのものです。費用はかかりませんが、住所の書き方のゆれ(「2丁目5番13号」と「2-5-13」など)を吸収する処理を自分で作る必要があります。方法ごとの手間の違いは住所を緯度経度に一括変換する方法で、GoogleのAPIを使う場合の料金と規約はGoogle Maps APIのジオコーディング料金で整理しています。
どの方法でも、すべての住所が同じ確かさで変換されるわけではありません。ここからは、結果の位置精度の読み方です。
位置精度1:なぜ精度に「段階」が生まれるのか
住所は、大きいまとまりから細かいまとまりへと階層になっています。都道府県 → 市区町村 → 町丁目 → 番地 → 号、という順です。住所を座標に変換するときは、住所と座標の対応表と照合していきますが、どの階層まで一致できたかで到達する精度が変わります。
番地まで一致すればピンポイントに近づき、町丁目までしか一致しなければ「その町丁目の代表地点」で止まります。精度の段階は、変換の失敗ではなく「どこまで特定できたかの記録」だと捉えると分かりやすくなります。
位置精度2:各レベルが指す「場所」の広さ
それぞれの精度が、地図上でどれくらいの範囲を指すのかを並べると次のようになります。
| 位置精度 | 指している場所 | 誤差の目安 |
|---|---|---|
| 番地 | その建物のほぼピンポイント | 数m〜数十m |
| 町丁目 | 「◯◯町2丁目」の代表地点 | 数百m〜1km程度 |
| 市区町村 | 市区町村の代表地点(参考値) | 数km以上のことも |
同じ「変換できた」でも、番地と市区町村では意味がまったく違います。町丁目は「だいたいこのあたり」、市区町村は「参考程度」と読み分けると、数字の信頼度を取り違えずに済みます。
位置精度3:なぜ100%は「番地」にならないのか
すべての住所が番地精度になるわけではありません。よくある理由は次の通りです。
- 新しい住所:区画整理などで整備されたばかりで、対応表にまだ載っていない
- 特殊な表記:京都の通り名(「四条通〜」など)のように、一般的な番地体系と異なる
- 号・ビル名頼り:番地が同じで号やビル名で区別する住所は、そこまで届かないことがある
- 書き崩れ:全角半角・漢数字・ハイフンの種類・字(あざ)の省略などの表記ゆれ
タスデータでは、こうした表記ゆれ(全角半角・漢数字・ハイフン7種・字の省略・旧字体など)を自動で正規化してから照合し、実在住所1万件のテストで約98.9%が町丁目以上の精度で変換できています。それでも残る数%は、上記のような理由で番地まで届かないものです。
位置精度4:精度は「使い道」で必要水準が変わる
町丁目精度が問題になるかどうかは、その座標を何に使うかで変わります。
| 用途 | 町丁目精度の影響 |
|---|---|
| 市区町村単位の集計・地図の色分け | ほぼ影響なし |
| 半径1km・3kmの商圏人口 | 影響は小さいことが多い |
| 半径500mの狭い商圏 | 誤差が乗りやすい(番地が望ましい) |
| 最寄り駅までの正確な距離 | 番地精度が望ましい |
「番地でないと使えない」わけではなく、広い範囲の分析ほど町丁目精度でも足りやすい、という関係があります。用途に対して精度が十分かを見て使い分ける、という考え方です。
位置精度5:特定できなかった行を「隠さない」という考え方
精度の話で見落とされがちなのが、特定できなかった行の扱いです。無理に近い場所へ寄せてしまうと、あとから誤りに気づけません。特定できなかった行を「要確認」として区別しておけば、その行だけ手作業で確認する、という運用ができます。失敗した行を、うまくいった行に紛れ込ませないことが、結果を信頼して使うための前提になります。
住所を貼り付けると、緯度経度と一緒に「番地/町丁目」の位置精度も列で返します。
登録なしで試せます。どの行がピンポイントで、どの行が要確認かがひと目で分かります。