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診療圏調査を自分でやる方法|受療率と年齢別人口から、1日の外来患者数を3地点で推計した

2026年11月7日 / タスデータ編集部
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監修:タスデータ(住所・地図データの専門チーム)
国勢調査や国土数値情報をもとに、住所ごとの商圏の数字を提供している立場から整理しています。

クリニックの開業場所を考えるときに行う診療圏調査は、開業支援の会社などに頼むこともできますが、公開されている統計を使えば、おおまかな数字は自分でも出せます。ここでは、診療圏調査で何を計算しているのかを整理し、厚生労働省の患者調査の受療率と、国勢調査の年齢別人口を使って、実際に3つの地点で1日の外来患者数を推計した結果を並べます。

先に結論を書くと、自分でやる診療圏調査は、「周りに住む人の数」×「年齢ごとの受診しやすさ」÷「近くの診療所の数」の3つをそろえる作業です。数字の作り方が分かっていれば、業者のレポートを読むときにも、どこを確かめればよいかが分かります。

論点1:診療圏調査で計算しているのは、3つの数字

ここでは、次の順で計算します。

順数字使う統計
1開業予定地の周りに住む人の数(年齢別)国勢調査
2年齢ごとに、1日に外来で受診する人の割合患者調査の受療率
3周りにある診療所の数国土数値情報「医療機関」など

1と2を掛けると、周りに住む人のうち1日に何人が外来で受診するかの推計になります。それを3の診療所の数で割ると、1つの診療所あたりの目安が出ます。

論点2:受療率は、年齢によって5倍ほど違う

受療率は、調査の日に医療機関を受診した患者の数(推計)を、人口10万人あたりで表した数です。厚生労働省「令和5年(2023)患者調査の概況」によると、全国の外来の受療率は5,850でした。1日に、人口の約5.9%が外来で受診している計算です。

年齢で見ると、差が大きくなります。概況の表から、外来の受療率を抜き出しました。

年齢外来の受療率
(人口10万対)
15〜19歳2,459
20〜24歳2,367
40〜44歳3,501
60〜64歳6,320
70歳以上10,742
80〜84歳12,010

出典:厚生労働省「令和5年(2023)患者調査の概況」表4「性・年齢階級別にみた受療率(人口10万対)」。病院と診療所の合計で、診療科は分けていない数字。

いちばん低い20〜24歳(2,367)と、いちばん高い80〜84歳(12,010)では、5倍ほどの差があります。同じ人口でも、年配の人が多い場所ほど、外来の患者は多くなります。人口だけで比べると、この違いが見えません。

論点3:3つの地点で、1日の外来患者数を推計した

タスデータで、性格の違う3つの地点を計算しました。三軒茶屋駅前(東京都世田谷区太子堂4丁目)、上尾駅前(埼玉県上尾市柏座1丁目)、若葉台駅前(東京都稲城市若葉台2丁目)です。半径1kmの年齢別人口に、年齢ごとの外来の受療率を掛けて足し合わせました。

半径1km三軒茶屋上尾若葉台
人口76,424人32,922人18,118人
70歳以上の割合15%20%12%
1日の外来患者
(推計)
3,850人1,862人907人
人口1,000人あたり50.4人56.5人50.1人
診療所の数813913
1診療所あたり
(推計)
48人48人70人

人口は2020年国勢調査の小地域(町丁目)集計の年齢別人口(年齢不詳を除く)を、円と重なる面積の割合で集計。受療率は令和5年患者調査の外来の値で、10歳きざみの人口に合わせて5歳きざみの値を平均して使った(70歳以上は表の再掲の値)。診療所の数は国土数値情報「医療機関データ」の診療所(歯科を除く)。2026年11月にタスデータで計算。

各駅の乗降客数の推移と、駅の周りに住む人は、駅のページ(三軒茶屋駅・上尾駅)で見られます。

上尾駅前は、人口1,000人あたりの外来患者が56.5人で、ほかの2地点(約50人)より1割ほど多くなりました。70歳以上の割合が20%と高いためです。

1つの診療所あたりで見ると、三軒茶屋と上尾はどちらも48人ほどで、ほぼ同じでした。三軒茶屋は人口が多い分、診療所も多いということです。若葉台は、人口は少ないものの診療所が13しかなく、1診療所あたり70人と、ほかの2地点の1.5倍になりました。人口の多さだけで選ぶと、このような場所は候補から漏れてしまいます。

論点4:自分でやる診療圏調査で、割り引いて読むところ

この計算は、公開されている統計でできる範囲の推計です。「診療圏調査はあてにならない」と言われることがありますが、どこに限界があるかを知っておくと、数字の読み方が変わります。

業者の診療圏調査を受け取ったときも、どの範囲の人口を使ったか、受療率は全診療科か診療科別か、競合をどう数えたかを確かめると、数字の意味が読みやすくなります。

論点5:候補地が複数あるなら、同じ条件で並べる

診療圏調査の数字は、1か所だけを見ても多いのか少ないのか判断しにくいものです。上の3地点のように、候補地を同じ半径・同じ計算方法で並べると、違いがはっきりします。候補地が多い場合は、住所の一覧に年齢別の人口や診療所の数を列として付けて、表で比べる方法が手間を減らせます。

候補地の住所リストに、半径の年齢別人口・高齢化率・診療所や病院の数などの列を一括で付けられます。
これらは有料プランの項目です。データは国勢調査(2020年)・国土数値情報です。受療率を掛ける計算は、付けた列を使ってExcelでできます。

候補地のリストで調べる →

商圏レポート(無料・登録不要)では、住所1つについて半径の人口・世帯数・世帯の構成と最寄り駅を見られます。

まとめ

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