持ち家率の都道府県ランキングと、市区町村・町丁目の調べ方|平均世帯年収はどこまでわかるか
持ち家率は、住宅のうち持ち家がどれだけあるかの割合です。リフォーム、住宅設備、保険、不動産のように持ち家の世帯が客になりやすい商売では、営業やポスティングの地域を選ぶときの材料になります。
この記事では、まず都道府県の持ち家率を一覧で載せ、そのあと市区町村、町丁目と細かい単位で調べる方法を書きます。あわせて調べたくなる平均世帯年収は、持ち家率と違って細かい単位の公的統計がないので、どこまでわかるかを分けて整理します。
都道府県別の持ち家率(2023年)
総務省統計局の令和5年住宅・土地統計調査 住宅及び世帯に関する基本集計 結果の概要の付表から、都道府県の持ち家率を高い順に並べました。ここでの持ち家率は、人が住んでいる住宅のうち持ち家が占める割合(統計局の呼び方では持ち家住宅率)です。
| 順位 | 都道府県 | 持ち家率 |
|---|---|---|
| — | 全国 | 60.9% |
| 1 | 秋田県 | 77.1% |
| 2 | 山形県 | 75.0% |
| 3 | 富山県 | 74.9% |
| 4 | 新潟県 | 74.0% |
| 5 | 和歌山県 | 73.8% |
| 6 | 岐阜県 | 73.7% |
| 7 | 福井県 | 73.5% |
| 8 | 奈良県 | 73.2% |
| 9 | 三重県 | 72.3% |
| 10 | 長野県 | 71.7% |
| 11 | 青森県 | 71.4% |
| 12 | 群馬県 | 71.1% |
| 13 | 滋賀県 | 70.9% |
| 14 | 岩手県 | 70.3% |
| 15 | 鳥取県 | 69.6% |
| 15 | 島根県 | 69.6% |
| 17 | 茨城県 | 69.4% |
| 17 | 香川県 | 69.4% |
| 19 | 栃木県 | 69.1% |
| 20 | 山梨県 | 68.6% |
| 21 | 福島県 | 68.3% |
| 22 | 徳島県 | 68.1% |
| 23 | 佐賀県 | 67.9% |
| 24 | 石川県 | 67.8% |
| 25 | 静岡県 | 67.4% |
| 26 | 山口県 | 67.0% |
| 27 | 高知県 | 66.0% |
| 28 | 宮崎県 | 65.7% |
| 29 | 岡山県 | 65.6% |
| 30 | 埼玉県 | 65.1% |
| 31 | 愛媛県 | 65.0% |
| 32 | 千葉県 | 64.7% |
| 32 | 長崎県 | 64.7% |
| 34 | 兵庫県 | 64.4% |
| 35 | 鹿児島県 | 63.3% |
| 36 | 熊本県 | 62.9% |
| 37 | 大分県 | 62.3% |
| 38 | 広島県 | 61.9% |
| 39 | 京都府 | 60.7% |
| 40 | 宮城県 | 60.0% |
| 41 | 愛知県 | 59.6% |
| 42 | 神奈川県 | 58.7% |
| 43 | 北海道 | 57.0% |
| 44 | 大阪府 | 54.5% |
| 45 | 福岡県 | 52.7% |
| 46 | 東京都 | 44.7% |
| 47 | 沖縄県 | 42.6% |
出典:総務省統計局「令和5年住宅・土地統計調査」住宅及び世帯に関する基本集計(2023年10月1日現在)。同じ値の県は同じ順位にしています。
高いのは秋田県(77.1%)、山形県(75.0%)、富山県(74.9%)で、低いのは沖縄県(42.6%)、東京都(44.7%)、福岡県(52.7%)です。低いほうの5つのうち、沖縄県・東京都・福岡県・大阪府の4つは、同じ資料で住宅に占める共同住宅の割合が高いほうの5つにも入っています。マンションやアパートが多い地域ほど、持ち家率は低く出やすいと読めます。同じ資料によると、全国の持ち家率は1993年から2023年までの30年間、60%前後でほぼ横ばいです。
市区町村と町丁目の持ち家率は、別の統計で調べる
住宅・土地統計調査は、調査区を選んで調べる標本調査です。市区町村の結果が出ているのは、市区と人口1万5千人以上の町村に限られます(同じ資料の注記)。それより小さい町村や、町丁目、駅から半径1kmといった範囲は、国勢調査で調べます。
国勢調査の持ち家率は、住宅の数ではなく世帯の数で数えます(持ち家に住む世帯 ÷ 住宅に住む一般世帯)。数え方が違うので、同じ地域でも住宅・土地統計調査の持ち家率とは少しずれます。都道府県どうしを比べるなら住宅・土地統計調査、町丁目や半径で比べるなら国勢調査、と使い分けます。
持ち家率と平均世帯年収は、取れる細かさが違う
| 項目 | 公的統計 | 取れる粒度 |
|---|---|---|
| 持ち家率・共同住宅率 | あり(国勢調査・実測) | 町丁目単位 |
| 世帯の構成・単身率・子育て世帯率 | あり(国勢調査・実測) | 町丁目単位 |
| 平均世帯年収 | なし | —(推計に頼るしかない) |
| 納税者1人あたり課税対象所得 | あり(課税状況調・実測) | 市区町村単位 |
順に見ていきます。
町丁目の持ち家率は、国勢調査の小地域集計で取れる
総務省統計局の国勢調査には、小地域集計という町丁目単位の集計があり、この中に「住宅の所有の関係」の表があります。ここで気をつけたいのが、粒度によって取れる区分の細かさが違うという点です。
| 粒度 | 取れる区分 |
|---|---|
| 市区町村単位 | 持ち家/公営の借家/都市再生機構(UR)・公社の借家/民営借家/給与住宅 の内訳まで |
| 町丁目単位(小地域) | 住宅に住む一般世帯/持ち家/民営借家 の3つ |
つまり「この町丁目の給与住宅(社宅)の割合」までは取れません。町丁目で持ち家率を出す場合は、持ち家の世帯数 ÷ 住宅に住む一般世帯数という形になります。分母が「一般世帯数」ではなく「住宅に住む一般世帯数」である点は、他の統計と突き合わせるときに効いてきます。
同じく「住宅の建て方」の表からは、一戸建てか共同住宅かの比率が取れます(町丁目単位では主世帯・一戸建・共同住宅)。いずれもe-Statから無料でダウンロードでき、出典を明記すれば商用利用も可能です。
実際にやるときの手数
データがあることと、すぐ使えることは別問題です。実務では次の工程が発生します。
- e-Statで対象の表(所有関係・建て方)を都道府県ごとにダウンロード
- 境界データ(町丁目のポリゴン)を別途ダウンロード
- 調べたい地点を緯度経度に変換し、半径の円と町丁目を重ね合わせる
- 円からはみ出た町丁目を面積で按分して合計する
3と4は地図データを扱う処理になるため、Excelだけでは完結しにくい部分です。市区町村単位でよければ1と表計算だけで済みますが、「駅から半径1km」のような範囲で見たい場合はこの工程が必要になります。
平均世帯年収の公的統計は、存在しない
ここが、この記事で最も伝えたい部分です。町丁目単位はもちろん、市区町村単位でも「平均世帯年収」という公的統計は存在しません。国勢調査は所得を調査項目に含んでいないためです。
したがって、商圏分析サービスの画面に平均世帯年収が表示されている場合、その数字は各社が独自の方法で推計したものです。推計が悪いという話ではなく、実測値と同じ確度のものとして扱うと判断を誤りかねない、という性質の違いです。
公的統計で最も近いもの:課税対象所得
所得水準の代理指標として使えるのが、総務省「市町村税課税状況等の調」に収録されている課税対象所得と納税義務者数です。前者を後者で割ると「納税者1人あたりの課税対象所得」が出ます。「統計でみる市区町村のすがた」にも収録されており、無料で参照できます。
ただし、使うときに押さえておきたい制約が3つあります。
| 制約 | 内容 |
|---|---|
| 粒度 | 市区町村単位。町丁目や半径1kmには落とせない |
| 単位 | 「世帯あたり」ではなく「納税者1人あたり」。共働き世帯が多い地域では世帯年収との差が大きくなる |
| 対象 | 課税対象所得なので、納税義務のない層は分母にも分子にも入らない |
それでも、市区町村間の相対的な所得水準の差を見る用途では、実測値として使える貴重なデータです。
タスデータでの扱い方(算出ロジックの開示)
参考までに、当サービスでこの2項目をどう扱っているかを書いておきます。推計を出す以上、方法を隠さない方が使う側が判断しやすいと考えているためです。
- 持ち家率・共同住宅率:国勢調査2020年の小地域集計(住宅の所有関係・建て方)を、指定した半径の円で面積按分。実測ベースです
- 平均世帯年収:2019年全国家計構造調査の「1世帯当たり年間収入」(都道府県・総世帯)に、市区町村の所得水準比(納税者1人あたり課税対象所得の県平均比)を掛けた推計値。粒度は市区町村単位
- 平均世帯貯蓄:同調査の「金融資産残高」の都道府県平均を、補正せずそのまま表示。粒度は都道府県単位
出力する項目には、それぞれ出典と粒度を明記しています。「これは町丁目の実測、これは市区町村の推計」と分けて見えるようにするためです。存在しないデータを、存在するかのように細かい粒度で出すことはしない、という方針をとっています。
住所リストをアップロードすると、各行に持ち家率・共同住宅率・平均世帯年収(推計)の列が追加されて返ってきます。
いずれも有料プランの項目です。
商圏レポート(無料・登録不要)で見られるのは、人口・世帯数・世帯の構成・最寄り駅です。
使うときの前提として
持ち家率にせよ所得水準にせよ、出てくるのはそのエリアの平均です。持ち家率70%のエリアにも借家の世帯は3割いますし、所得水準の高い市区町村にもさまざまな世帯があります。エリアの優先順位づけの材料にはなっても、個別の世帯の状況を示すものではない、という点は前提として置いておく必要があります。
営業リストのエリア分けやポスティング先の絞り込みのように、限られた回数をどこに使うかを決める場面で効いてくるデータだ、という捉え方が実態に合っているように思います。