ポスティングの世帯数の調べ方 — 無料で出す3つの方法と、Excelの住所リストに付ける手順
チラシを何部刷るかを決めるとき、最初に要るのは配布エリアの世帯数です。世帯数は国勢調査の数字を使えば無料で調べられます。この記事では、1つのエリアを調べる3つの方法を比べたあと、配布の拠点や候補エリアがExcelに並んでいるときに、各行へ世帯数を付ける手順を説明します。
部数と対応するのは、人口より世帯数
チラシは郵便受け1つに1枚入れるので、配る数と対応するのは人口ではなく世帯数です。同じ1万世帯でも、ワンルームの多い町と、戸建てや分譲マンションの多い町では、住んでいる人の数も顔ぶれも違います。誰に届けたいかによっては、世帯数とあわせて人口や世帯の構成も見ておくと、エリアの違いがわかります。
国勢調査の世帯には「一般世帯」と「施設等の世帯」の区分があります。ポスティングの計画で見るのは一般世帯数のほうです。寮や病院などの施設等の世帯は、配れる郵便受けの数とは対応しないためです。
無料で調べる方法1:e-Statで町丁目の世帯数を見る
世帯数の元になるデータは国勢調査です。政府統計の総合窓口(e-Stat)で、市区町村や町丁目ごとの世帯数が無料で公開されています。町丁目ごとの世帯数は、令和2年(2020年)国勢調査の小地域集計から取れます。「〇〇市△△町の世帯数」を知りたいだけなら、e-Statの表を引くのがいちばん確実です。
e-Statのデータは政府標準利用規約(第2.0版)に沿って提供されていて、出典を書けば加工や商用利用ができます。見積書や提案資料に数字を載せるときは、「総務省『令和2年国勢調査』」のように出典を入れます。
表は行政区域(市区町村・町丁目)の単位でしか出ないので、「この店から半径1km」のように円で切った世帯数は出せません。配布エリアを円で考えているなら、次のjSTAT MAPを使います。
無料で調べる方法2:jSTAT MAPで半径の円の世帯数を出す
e-Statの地図機能であるjSTAT MAPでは、地図に半径◯mの円を描き、その中の国勢調査の世帯数と人口を無料で集計できます。「駅から半径1km」「店から500m」のように円で配布エリアを決めるときに向いています。手順はjSTAT MAPで商圏分析をする方法にまとめました。
円と町丁目は形が合わないので、円にかかる町丁目の世帯数をそのまま足すと、円の外まで数えてしまいます。jSTAT MAPのレポートには、町丁目を面積の割合で分ける(按分する)かどうかの選択があります。数字の違いは半径◯kmの人口の調べ方で説明しています。
集計は1エリアずつです。配布の候補が5つ、10と並んでいると、円を描いてレポートを出し、Excelに書き写す作業がその数だけ要ります。
無料で調べる方法3:ポスティング会社に配布可能数を聞く
配布を業者に頼むなら、ポスティング会社が持っているエリアごとの配布可能数を、見積もりのときに教えてもらえます。配布の実績から作った数字なので、チラシを入れられない集合住宅などを除いた、実際に配れる数に近いのが強みです。
ただし、その会社が配る前提の数字です。複数の会社を比べたいときや、自社で配るとき、エリアを自分で切り直したいときは、国勢調査の世帯数を手元に持っておくと比べやすくなります。
Excelの住所リストに世帯数を付けるとき
配布の拠点や候補エリアの住所がExcelに並んでいて、その各行に世帯数を入れたい、という場面もよくあります。ここでは、関数でできることと、できないことを分けて説明します。
VLOOKUPで住所から世帯数は引けない
VLOOKUPやXLOOKUPは、キーが完全に一致することを前提にした関数です。国勢調査の世帯数の表が持っているキーは、住所の文字列ではなく町丁字コード(市区町村コードと町丁字を表す数字の並び)です。「横浜市西区みなとみらい2丁目」という文字列とコードの列は、そのままでは突き合わせられません。
町丁目の名前で突き合わせようとしても、次のような食い違いが残ります。
| 食い違いの例 | 手元のリスト | 統計側の表記 |
|---|---|---|
| 丁目の表記 | 2丁目 / 2丁目 / 二丁目 | 統計表の記法に統一されている |
| 番地以下 | 3-1-5 まで入っている | 町丁目までしか無い |
| ビル名・階 | 〇〇ビル7F が続く | 該当なし |
| 旧町名・合併前の表記 | 古い顧客リストに残る | 調査時点の行政区域 |
先に、住所を町丁字コードに対応づけて、表記をそろえる作業が要ります。Excelの置換やIF関数でもできますが、件数が増えるほど例外の手当てが増えていきます。
数十件なら、Excelと手作業で足りる
件数が数十件で、町丁目の名前がはっきりしているなら、e-Statから直接拾ったほうが早く終わります。
- e-Statの「国勢調査 小地域集計」から、対象の都道府県のファイルを取る
- Excelで開き、市区町村と町丁目で対象の行を絞り込む
- 一般世帯数の列を、配布候補の表に書き写す
- 資料に載せるときは、出典(総務省「令和2年国勢調査」)を書く
Excelで済む範囲を超えるのは、件数が数百件になって表記ゆれの手当てが作業の大半を占めるようになったときと、町丁目ではなく半径の円で切りたいときです。円で切るには、緯度経度と町丁目の境界のデータを使って按分する処理が要り、関数の範囲を超えます。
住所のリストに、半径500m〜3kmの世帯数と人口の列を付けて返します。
町丁字コードへの対応づけと表記ゆれの処理はこちらで行うので、リストを整える必要はありません。データは国勢調査(2020年)で、出典を書けば商用利用できます。
先に1地点だけ試すなら 商圏レポート(住所を入れるだけ・無料) もあります。
まとめ
- ポスティングの部数と対応するのは、人口ではなく一般世帯数
- 町丁目の世帯数はe-Stat、半径の円の世帯数はjSTAT MAPで、どちらも無料で調べられる。ポスティング会社の配布可能数は、配れない建物を除いた数に近い
- 国勢調査の世帯数のキーは町丁字コードなので、住所の文字列とはVLOOKUPで突き合わせられない
- 数十件ならExcelと手作業で足りる。数百件を超えるときや円で切りたいときは、住所リストごと世帯数を付けるほうが早い