jSTAT MAPで商圏分析をする方法|半径の人口レポートを出す手順と、按分の選び方
jSTAT MAP(地図で見る統計)は、政府統計の総合窓口(e-Stat)が提供している無料の地図サービスです。店を出す候補地や今の店のまわりに、半径何kmで何人住んでいるかを、国勢調査のデータで調べられます。ただ、画面の項目が多く、どこから始めればよいか分かりにくい道具でもあります。
この記事では、商圏分析でいちばんよく使う「候補地を中心に半径の円を作り、その中の人口と世帯数をレポートで出す」までの手順を、総務省統計局の活用例資料に沿って書きます。ログインなしで出せるシンプルレポートと、ログインして出すリッチレポートの2つです。途中で選ぶ「按分する・按分しない」の違いと、候補地がいくつもあるときの進め方も整理します。
論点1:jSTAT MAPでできることと、ログインの要否
e-StatのjSTAT MAPの紹介ページでは、主な機能として次の4つが挙げられています。
- プロット作成:地図の上にピンを立てる(店や候補地の位置を置く)
- エリア作成:地図の上にエリアを作る(候補地から半径◯kmの円など)
- 統計グラフ作成:統計データを地図の上でグラフや塗り分けにする
- レポート作成:選んだ地域の集計結果をレポートの形で出す
商圏分析で使うのは、主に「エリア作成」と「レポート作成」です。使える機能は、ログインするかどうかで分かれます。e-Statのヘルプ「jSTAT MAPを始める」には、次のように書かれています。
| ログインなしで使える | ログインが要る |
|---|---|
| データの登録、プロットの作成、エリアの作成、グラフの作成、シンプルレポートの作成 | データの保存、ジオコーディング(住所から位置への変換)、データのインポート・エクスポート、リッチレポートの作成 |
1か所の人口と世帯数を見るだけなら、ログインなしのシンプルレポートで足ります。年齢別の人口や事業所の数まで1つのファイルで見たいとき、店や候補地の住所の一覧を取り込みたいときは、e-StatのユーザIDでログインします。
論点2:ログインなしで、半径2kmの人口をシンプルレポートで出す
総務省統計局の活用例資料「jSTAT MAPからレポートを出力する方法」では、愛知県庁を中心に半径2kmの円を作り、その中の人口をシンプルレポートで出す例が載っています。手順は次のとおりです。
- e-Statのトップページで「地図」を開き、「地図で見る統計(jSTAT MAP)」を押す
- 「ログインしないで始める」を押す
- 左上の検索窓で、調べたい場所を検索する
- 右下の「統計地図作成」から「エリア作成」を選び、グループ名を付けて「次へ」
- 「円」から「同心円」を選び、エリア名と半径(例では2km)を入れ、地図の上で中心にする場所を押してから「登録」
- 「統計地図作成」から「統計グラフ作成」を開き、統計名と年を選ぶ(例では国勢調査 2020年の人口及び世帯、250mメッシュ)。「人口(総数)」に印を付けて「指標選択」、「次へ」
- 集計の単位に「エリア」を指定し、先ほど作ったエリアのグループを選ぶ。集計方法を「按分する」にして集計を始める
- 「統計地図作成」から「レポート作成」、「シンプルレポート」と進み、作った統計グラフを選んで「Excel レポート作成」
- 「ダウンロード」を押すと、円の中の人口がExcelで手に入る
流れは「エリアを作る」「その中の統計を集計する」「レポートにする」の3段です。迷ったら、今どの段にいるかを確かめると戻りやすくなります。
論点3:「按分する」と「按分しない」で、数字が変わる
手順7の集計方法には「按分しない」と「按分する」の2つがあります。活用例資料の説明は次のとおりです。
| 集計方法 | 数え方 |
|---|---|
| 按分しない | 円に触れる地域の、全体の値を合算する |
| 按分する | 円の内部の値を、割合で計算する |
按分しないと、円の端に少しでもかかったメッシュや町丁目の人口がまるごと足されるため、半径の円より広い範囲の数字になります。商圏の人口として「半径2kmの中に何人いるか」を見たいなら、按分するほうが円の大きさに近い数字になります。
同じ半径でも、ツールによって人口が違って見えるのは、この数え方の違いが理由の1つです。詳しくは半径◯kmの人口がツールごとに違うのはなぜかで整理しています。
論点4:ログインして、リッチレポートを出す
リッチレポートは、指定した範囲の年齢別人口、世帯数、事業所数などを、表やグラフにまとめて出してくれるレポートです(総務省統計局の活用例資料「地図で見る統計(jSTAT MAP)を使ってみよう」)。出店や開業の候補地を調べるなら、こちらのほうが一度に見られる項目が多くなります。
ログインには、e-StatのユーザIDが要ります。e-Statのトップページ右上の「新規登録」から、ユーザID(メールアドレス)を入れて仮登録し、届いたメールのURLからパスワードなどを設定して本登録します。そのうえで、次の手順で出します。
- e-Statから「地図で見る統計(jSTAT MAP)」を開き、「ログイン」を押す
- 左上の検索窓で、調べたい場所を検索する
- 「統計地図作成」から「レポート作成」、「リッチレポート」と進む
- エリアの種類で「円・到達圏」を選んで「次へ」。半径は設定欄で指定する(活用例では3つのエリアを有効にして、同心円で出す例も載っている)
- 地図の上で中心にする場所を押し、「リッチレポートを作成する」を押す
- 「ダウンロード」を押して、ファイルを開く
ログインして自分で登録したエリアがあれば、手順4でそのエリアを選んで分析することもできます。
論点5:つまずきやすいところ
- 途中でログインすると、作っていたものが消える:e-Statのヘルプには、操作中にツールバーの「ログイン」を押すとjSTAT MAPを終えてログイン画面に移り、作成中のデータは破棄される、と書かれています。リッチレポートや住所の取り込みを使うつもりなら、最初からログインして始めます。
- ログインしても画面が変わらない:同じヘルプでは、アカウントに「地図で見る統計(jSTAT MAP)」の機能が設定されていない可能性があるとして、ログイン後に「マイページ」→「ユーザー情報変更」→「登録内容変更」で確かめるよう案内しています。
- 住所の一覧を取り込めない:ジオコーディングとデータのインポートは、ログインしないと使えない機能です。ログインなしで始めた画面では見つかりません。
- 集計方法を選び忘れる:シンプルレポートでは、統計グラフを作るときの集計方法が「按分する」か「按分しない」かで数字が変わります。出てきた数字が思ったより大きいときは、ここを見直します。
論点6:候補地がいくつもあるときは
活用例の手順は、どれも地図の上で地点を1つ押して、レポートを1つ作る流れです。候補地が3つなら、手順を3回くり返してダウンロードし、Excelで並べることになります。1か所を深く調べるにはjSTAT MAPが向いていますが、候補地が10か所、20か所と増えると、レポートを出して数字を書き写す作業が増えていきます。
| やりたいこと | 向いている道具 |
|---|---|
| 1か所を深く調べる(年齢別人口・事業所数など) | jSTAT MAPのリッチレポート |
| 統計を地図に塗り分けて眺める | jSTAT MAPの統計グラフ作成 |
| 候補地の住所の一覧に、半径の人口や世帯数をまとめて付けて比べる | 住所の一覧に列を足すタイプのツール |
候補地の比べ方そのものは、出店候補地を複数まとめて比較する方法で書いています。
候補地の住所を並べたリストがあるなら、半径500m〜3kmの人口・世帯数・年齢構成を、リストの列としてまとめて足せます。
会員登録すると、Excelやcsvの住所の一覧をそのまま読み込めます。データはjSTAT MAPと同じ国勢調査(2020年)などの公的統計です。集計は円の中の面積の割合で按分しています。
先に1か所だけ試すなら、商圏レポート(無料・登録不要)で、住所1つの半径の人口・世帯数と最寄り駅を見られます。
まとめ
- jSTAT MAPで商圏分析をするときの流れは、「エリアを作る」「その中の統計を集計する」「レポートにする」の3段です。
- 1か所の人口と世帯数なら、ログインなしのシンプルレポートで出せます。年齢別人口や事業所数まで見るリッチレポートと、住所の一覧の取り込みには、e-StatのユーザIDでのログインが要ります。
- シンプルレポートの集計方法は、円の大きさに近い数字を見たいなら「按分する」を選びます。
- 途中でログインすると作成中のデータが消えるので、ログインが要る機能を使うなら最初からログインして始めます。
- 候補地が多いときは、住所の一覧にまとめて数字を付けるツールと使い分けると、書き写す手間が減ります。